治療に必要なのは、レーザーだけではありません
ニキビ跡治療の定番となっているフラクショナルレーザー治療ですが、全ての方、全てのニキビ跡のタイプに効果的というわけではありません。やはり効果が不十分というケースが見受けられるのが現実です。効果が出にくい原因は3つに分けられ、対処できる方法があります。
フラクショナルレーザーでできること、できないこと。レーザー治療をしてきて効果を感じられなかった方には、今後どのような治療を進めていく必要があるのか。それぞれの対処法についてご説明します。
レーザーで効果が出にくい原因について
原因1:レーザーのパワー
ニキビ跡の主な原因は、皮内瘢痕(はんこん)です。瘢痕とは、できものや傷などが直った後に皮膚面に残る跡のことをいいます。ニキビ跡は、皮膚の中に硬いコラーゲン組織の塊である瘢痕組織ができることでへ凹みが生じてしまうことで発生します。
フラクショナルレーザーは、瘢痕組織を壊し再構築させる過程で、皮膚の中を正常なコラーゲンに入れ替えることでニキビ跡の改善効果を発揮させる。という仕組みです。
しかしながらフラクショナルレーザーは、パワーを強くするとレーザーが皮膚深くまで届くものの、レーザーのドットが大きくなる特性があるため、強すぎるとかえって瘢痕化させてしまうリスクが生じます。そのためにきび跡治療を専門に行っていないクリニックでは、弱めの設定のみで照射を行う場合があり、レーザーが十分な深さに届かず、効果が感じられない。という状態になります。
フラクショナルレーザーではまず、瘢痕組織を破壊します。
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瘢痕組織を壊される事により、皮膚は組織を再構築させようとします。
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再構築の過程で、皮膚の中を正常なコラーゲンに入れ替え、ニキビ跡を改善していきます。
より深く届く、安全に配慮されたレーザーを使用することがポイントです。
ニキビ跡改善プログラムや、サイトンヘイローといったレーザーを複合的に照射する治療で、ドット系は細く、そしてレーザーは深くまで届く治療が可能になります。
原因2:線維芽細胞の働きが悪い
インフルエンザの予防接種や採血の際に針を刺しますが、その跡は全く残らずに綺麗に消えるように、人間の皮膚は、細い針のようなドット状の損傷は元通りに修復する再生能力があります。この再生能力の内、真皮組織の再構築を担う細胞のことを「線維芽細胞」といいます。
レーザー照射のイメージ
フラクショナルレーザーの細いドットで、ニキビ跡を照射します。レーザー照射によって、皮膚組織が破壊され、新しい組織を再構築しようと、線維芽細胞が頑張ります
通常
正常な再構築が生じ、瘢痕組織を正常組織に入れ替えていきます
ニキビ跡ができやすい体質の人
線維芽細胞の働きが悪いことで、正常組織に入れ替えられず、硬いコラーゲン組織を形成してしまいます
線維芽細胞の働きを助け、統制するGF(成長因子)を付加する治療法の追加が有効になってきます。
・GFブースターパック
・PFD(プラセンタフリーズドライ成長因子)
原因3:瘢痕組織が厚すぎる
皮膚の中にある硬いコラーゲン組織の塊「瘢痕組織」。皮膚を正常組織に再構築するには正常組織が皮膚の周りになくてはなりません。フラクショナルレーザーでは、瘢痕組織周辺から、深部に接している正常組織に合わせてレーザーを照射する必要があるのですが、瘢痕組織が厚かったり、深すぎる場合は、照射の仕方をいくら工夫しても、改善効果を十分に得ることはできません。このような状態の方には、フラクショナルレーザーではなく、違う方法を検討する必要があります。
瘢痕組織が厚すぎる場合
通常のフラクショナルレーザーは垂直に効果が働くため、正常組織にレーザー照射が届きません
垂直に効果を働かせるフラクショナルレーザーではなく、水平に変性を起こさせる「サブシジョン治療」を行う事で、改善が期待できます。
当院の使っているフラクショナルレーザーについて
熱作用を利用した治療(ノンアブレイティブ)
皮膚表面から皮膚深部を蒸散させる治療(アブレイティブ)
ニキビ跡治療は、ただレーザー照射する治療だけではありません。それぞれの原因を見極めた治療を行うことで、良い治療結果を導き出すことができます。今までフラクショナルレーザーで効果を感じることができなかった方にも、正しい診断の上で、タイプにに合った治療をご提供していきたいと思っています。